MAICO TOMITA
富田真以子(inc. workshop)
「親子で楽しむ打楽器ワークショップ」を終えて
今回はリサイタルではなく「親子ワークショップのプロデュースをしてみないか?」と訓子さんよりお誘いをいただきました。inc.としては初めてのワークショップ企画でした。“親子”に向けたコンサートやワークショップは、私の音楽活動においても重要視している部分であり、ここ数年、ご縁により様々な場所・形態で取り組んでいます。そんな中、今回は”くにたち市民芸術小ホール”のエントランスにて、対象年齢は0歳から小学生まで、そして障害のある方も歓迎、打楽器を楽しむワークショップという内容でした。
会場は、2年前にこの”inc.percussion days”で演奏させていただいたことがあり、すぐにイメージが湧きました。大きな窓と吹き抜けがあり、明るくオープンで響きのあるスペースを生かして、その空間全体を音楽で満たし、参加者たちを包むような時間をつくりたいと思いました。また、緊張感なく気軽に参加できる雰囲気をつくれそうだと感じました。
対象年齢については、こどもは少しの年齢差でやれることが変わってくるため、幅が広いと話し方も含め内容の組み立てが難しいのですが、今回そこに挑戦してみたいと思いました。これらの条件と今まで今までの仕事や本番などで得た経験から想像力を働かせて、1時間弱の打楽器ワークショップをつくりました。
前半は打楽器の音を間近で楽しむことをメインとし、楽器の紹介も織り交ぜながら、そして時には目を閉じて聴いてもらい、打楽器の多彩な音色を味わっていただきました。“聴く”ということは誰にでも出来ることです。耳はもちろん、打楽器は特に振動があるので全身で音を感じることができます。
後半は参加型で、身体を使って音楽を楽しむ内容にしました。身近なもの(新聞紙)を使って演奏してみたり、ボディーパーカッションに挑戦したり、サンバに合わせてダンスをしたりしました。身体の使い方も、小さい子でも真似をしてやりやすいような動きを取り入れました。
実施するにあたっては、”どやどや楽団”というグループで演奏を共にしており信頼のおける田中里枝と戸崎可梨にサポートをお願いしました。始めてみるまでは、どのような親子が参加してくれ、どういった雰囲気になるかドキドキしていたのですが、アットホームな空間と、参加者の皆さまのノリが良かったこともあり、終始和やかな雰囲気で こどもたちとも対話をしながら進めることができました。
私が親子に向けた音楽イベントを重要視している理由は、こどもの豊かな感性を育む助けになりたい、そして日々育児に邁進していらっしゃる親御さんにとっても、少しでも癒しや刺激となるような時間をつくりたいという想いからです。それからもう一つ、そこには私にとっての興味・関心が詰まっています。それは、こどもたちのイマジネーションです。こどもと接していると、彼らの想像力の豊かさに驚かされることがたくさんあります。こどもの感性に触れることは、自分の音楽の肥やしにもなると思っています。
今回、自分なりにワークショップをつくって実践し得られた反応は、再び自分の引き出しを増やしてくれそうです。うまくいったことも、いかなかったことも、今後の活動に生かして行きたいと思います。
このような貴重な機会をいただき、このワークショップを実現するにあたり様々な面で快く支えていただいた、加藤訓子さんをはじめとするinc.サポーターの皆様や、斎藤かおりさんをはじめとする くにたち市民芸術小ホールの皆様に深く御礼申し上げます。
富田 真以子