KAZUYA KATO

by | Artists 2019, inc

加藤和也(サクソフォン)

私は普段、広島で1から演奏会を企画し当日も運営に回ったりリハーサルをしたりと落ち着かない中で実施することが多いのですが、今回は本当に様々な方にサポートしていただいてのリサイタルの実施でした。全体を統括されていらっしゃり、また、主催者でもいらっしゃる加藤訓子さんや音響の寒河江さん、カノン工房 鈴木さんを始め、舞台設営、照明、マネージメントのそれぞれの分野において第一線で活動されていらっしゃる方に協力をしていただいてのコンサートでしたので本当にステージに集中し、安心して臨むことができました。本当に厚く御礼申しあげます。

今回、このinc.でリサイタルを開催させていただけたきっかけは、今から1年前に開催されましたinc. percussion days 2018 Hiroshimaを作曲家の徳永崇さんにご紹介していただいたことから始まります。そこではガラ・コンサートで久留智之さんの《Avaz Calligrafico》for tenor saxophone soloを演奏しました。そして、そこからのご縁で今回リサイタルを実施させていただけることになりました。

今回のプログラムは「広島から発信する音楽」、「一人のサクソフォニストと1本のサクソフォン可能性」、「打楽器との接する関係にある作品」、「私が住んでいたデンマークの作品」、この4つを核としてプログラミングをいたしました。

上記を踏まえた上でまず3曲を選曲し、そこに、共演者である新野将之さんからご提案いただいたデュオ作品を加えた計4作品で今回のリサイタルプログラムを確定致しました。委嘱した私の”何か”がそうさせたのかもしれませんが、奇しくも広島から発信された音楽は2作品ともに生物に係るものとなり、また、デンマークからの作品はエネルギーの推移に中止された作品だけあって、結果的に緊張感とエネルギーの推進力が強い3作品を選ぶこととなりました。

日本初演を含むプログラムということもあり、冷静に考えれば負担が大きいリサイタル出会ったのかなと思うのですが、自分自身が楽しく、また、得ることが非常に多いリサイタルでした。 

今回、このinc.の全日程に参加し、毎日演奏をすること、毎日演奏を聞くこと、毎日第一線の方々の仕事が拝見できること、加藤訓子さんの音楽に対峙・共鳴・表現する姿勢を間近で拝見できること、それらのことで自分自身が刺激を受けて毎日変化し続けることを実感したことにとても驚きました。また、共演者の新野将之さんを始め、同年代の志の高い仲間と時間をともにすることの心地よさも感じることができました。

音楽の道を進むことは時として非常に孤独に感じることもあるのですが、今回のinc.で私がたくさんの方に支えられ、応援されステージに立つことができていると改めて強く感じることが出来ました。普段、地方で新しい音楽作品と共に活動している僕にとっては本当にありがたい経験です。これからもこの経験を活かし、さらに大きくなった演奏を皆様にお届け出来るよう精進してまいります。

本当にありがとうございました。

加藤和也